2011-01-01から1年間の記事一覧

第24話  車、千里を駆ける / Chase!

Nigeria, ナイジェリア。西アフリカはギニア湾に面する連邦共和国で、産油国でもある。首都はアブジャ、最大都市はラゴスである。国名の由来はニジェール川(Niger)から来ており、お気づきの方もいるかも知れないが、隣国ニジェールとは読み方が違うだけで、…

第23話 2千年来の友達 / When one god deserts you, another will pick you up.

「ここに座れ。」 「・・・・・・・」 「フランス語がわからんのか?」 「・・・・・ああ」 「まったく、日本人てのはもっと温厚で礼儀正しいはずだろう?一体なにがあったのだ?」 「なあ、タバコ・・・・吸っても良いか?」 私はコートジボアール空港の空…

第22話 日本人科学者拘束 / Captive scientist

「動くな!おとなしくしろ!!」 「待て!離せ!!」 「うるさい、こっちへ来い!!」 「日本人舐めるなよ!国家権力なんぼのもんじゃ!!」 「なんだ!中国人じゃないのか?ええい、いいから大人しくしろ!!」 Cote d'Ivoire。アフリカ大陸西部、ギニア湾…

第21話 旅立ちに向けて3 / start on a journey3

ビチビチ。 顔に当たる砂塵が痛い。そして、狭い。言うのは悪いとは思うが、臭い。 フロントガラスが無い為に、道路に撒き上がる砂塵がすべて車内に突入してくる。しかもこれは「高速バス」だ。風圧が半端ではない。ドライバーはアホみたいにアクセルを踏み…

第20話 旅立ちに向けて2 / start on a journey2

「こちらはAir Burkinaです。お客様の予約されたフライトはありません。」 「・・・・・・・意味がわからん。」 「フランス語ができないのですか?」 「いや、それもあるが、なんでE-ticketを持ってるのにフライトが無いのだ?」 無事にナイジェリアのビザを…

第19話 旅立ちに向けて / start on a journey

「あ〜面倒くせ〜」 「?おいなんて言ったんだジャポネ?」 ここはブルキナファソにあるナイジェリア大使館だ。いや、正確に言うと、ナイジェリア大使館の敷地に入る為の入り口だ。私の所属する研究所はナイジェリアに本部があるのだが、この度、全体会議の…

第18話 学校の買い談 3 / In economics, you don't get something for nothing. 3

「さて、今日は皆さんに経済学の話しをしましょう」 農民学校の先生達に期待と不安が入り交じった視線が交わされる。自信がやや揺れる。四則演算以外の数学など知りもしない彼らに対し、経済学を説けるのか。私の意図は通じるのだろうか。そもそも私の「英語…

第17話 学校の買い談 2 / In economics, you don't get something for nothing. 2

「ようこそ、Trainer's training (先生の為の学校)へ、今日は我々とブルキナファソ国立研究所が誇る科学者達が皆さんにレクチャーをします。」 「皆さんはここで農業に関する様々な知識を学び、それぞれの村に帰ってから、農業学校の「先生」になるのです…

第16話 学校の買い談 1 / In economics, you don't get something for nothing. 1

「ドクター、各村共に順調に開花が見られますね。」 「そうだな。色々とトラブルがあったけど、とりあえずは一安心だ。だけど、まだほ場に「混ざり種」が見られるな。品種の見分け方を再指導して、混ざり種を除去しないとな。」 播種(種まき)から、農薬の…

第15話 あんた誰? / Uncle Sam.

「あ〜、またか!」 PCの電源が来ない。一瞬停電を想像するが、オフィスの電気はついている。なんの事は無い、延長ケーブルが壊れたのだ。アフリカでPC仕事をするなら、間違ってもデスクトップなどは買わない事だ。なぜなら、予期せぬ停電にいちいち電源が落…

第14話 恵まれし者 / Grace of God.

「それにしても、Saria村なんてところで良くご無事ですね?」 「首都ワガの"隊員"にマラリヤ患者が出まして、Saria村は大丈夫ですか?」 ブルキナファソ首都ワガドゥグゥーに支部を置く、日本の国際協力隊事務所 "GIKA" の職員の方と、たまたまワガで会った…

第13話 やっぱ嫌な奴 / A cat goes, ”Meow meow”.

「アロー? あ、はいもしもし、ええそうです。」 珍しく携帯に日本語で電話がかかった。ブルキナファソで行われる農学関連の国際シンポジウムにガーナ在住の日本人科学者が参加していた。事前に里村さんを通じて、可能ならブルキナで会えないかと打診を受け…

第12話 言い訳すんなって / He that is good for making excuse is seldom good for anything else.

「チーフ!そんなことは我々がします!止めてください!」 「えっ?別にいいじゃないか。誰がやっても同じだよ。」 鼻歌まじりにロバを操り、美しい畝をブルキナの大地に刻んで行く。結構、楽しい。 だが、それを見る農民達は皆驚きを隠さないし、スタッフも…

第11話 サリア村の休日 / Holiday in Saria

「ヴェ〜〜、ヴェ〜」 「うるさいなぁ、またアンバサダーの奴か?」 雨期の訪れとともに、ブルキナファソの村々では一気に農耕と植え付けが始まる。私の実験サイトがある村々も同様で、ブルキナについてからほとんどの日々を各村への出張に取られていた。今…